目次
DNA型鑑定の精度は検体によって異なるの?鑑定可能な検体と方法を解説
DNA型鑑定で一般的におこなわれる検体の採取方法とは?
口腔内細胞を採取する
口腔内細胞の精度は?
DNA型鑑定の一般サンプルにはどんなものがある?精度についても
歯ブラシは最も代表的な検体
タバコの吸殻は吸い方によって成功率がかわる
毛髪は毛根がついていればOK
その他の特殊検体とは?
DNA型鑑定はどんな方法で分析されるの?費用や必要な期間
DNA型鑑定で用いられる分析方法とは?
DNA型鑑定の費用相場は?
結果が出るまでどのくらいかかるの?
まとめ
DNA型鑑定の精度は検体によって異なるの?鑑定可能な検体と方法を解説
DNA型鑑定は、特定の個人を識別したり、親子関係や血縁関係を証明するのに有効な手段です。
刑事ドラマでは、毛髪やタバコの吸殻などを検体にして犯人を特定、事件を解決するストーリーを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
でも、DNA型鑑定に用いられる検体は他にもいろいろあります。
また、検体の量や保存状態によっても精度が異なります。
今回は、DNA型鑑定ができる検体や採取の方法をご紹介したいと思います。
また、採取した検体の分析方法や費用相場、結果が出るまでの期間も、ぜひご参考くださいね。
DNA型鑑定で一般的におこなわれる検体の採取方法とは?
DNA型鑑定に最適な検体は口腔内の細胞だといわれています。
どのような方法で採取するのか、また精度はどのくらいなのかみていきましょう。
口腔内細胞を採取する
口腔上皮とよばれる口内の粘膜を採取するには、専用の綿棒を使用します。
頬の内側を10秒程度こするだけで採取できるので、傷みも出血もありません。
口腔内の細胞からDNAを抽出・精製して解析します。
検査機関へ出向けば専門のスタッフが採取しますし、セルフで採取して検体を郵送することもできます。
口腔内細胞の精度は?
口腔内細胞を使ったDNA型鑑定の精度はとても高く、ほぼ100%の確率で十分なDNAが得られます。
ただし、採取する1時間前から飲食や喫煙をしない、検体が付着した綿棒を床などに落としたり素手で触らないといった注意事項があります。
また、赤ちゃんの場合には、授乳前に採取することが望ましいです。
授乳直後など口の中に母乳が残っていると、赤ちゃんのDNAは得られなくなります。
DNA型鑑定の一般サンプルにはどんなものがある?精度についても
口腔内の細胞を採取することが難しい場合には、特殊検体を採取してDNA型鑑定をすることができます。
代表的なものやDNAが得られる確率についてみてみましょう。
歯ブラシは最も代表的な検体
特殊検体として最も実績が多いといわれているのが歯ブラシです。
10日以上使用していて、かつ使用後1〜3ヶ月のものが望ましいです。
唾液自体にはDNAはほとんどなく、歯ブラシに付着している口腔内の細胞が検体となります。
ただし、唾液などの水分を多く含んでいると、細菌が繁殖しやすいため、DNAの解析が難しくなることもあります。
成功率は70%前後。
タバコの吸殻は吸い方によって成功率がかわる
直接口に触れるタバコのフィルター部分から検体採取することもできます。
水に浸けてしまった吸殻は避けましょう。
また、火をつけて持っていただけの吸殻も避けて、何度も口をつけて吸った吸殻を選びましょう。
唇の細胞が付着量が増してDNAが検出されやすくなります。
回収する時は素手で触らないように注意して、新品の使い捨て割り箸などを使いましょう。
吸い方のクセや保管状態によりますが、成功率は50%だといわれています。
毛髪は毛根がついていればOK
毛髪でのDNA型鑑定では、引き抜いた毛髪約10本程が必要になります。
引き抜いた時に毛根回りに毛根鞘が付いていれば、さらにDNAが検出されやすくなります。
抜け落ちた毛髪では、DNAが検出されない場合があります。
これは、引き抜いた毛髪と違って毛根鞘の付着も無く、元気のない毛根だからです。
ただし、本数を増やせばDNAが検出される場合があります。
他人の毛髪が混ざっていたり、本数が足りないと鑑定が難しくなります。
成功率は約70%。
その他の特殊検体とは?
DNAは体のどの細胞にも含まれています。
上記の特殊検体の他にも、次のようなものが対象となります。
検体の量や保存状態によって、同じ検体でも精度が異なります。
・爪
・胎盤や臍帯
・体液の一部
・骨(ただし、焼骨は除く)
・血液
・着衣
【参考:法科学鑑定研究所「一般サンプルからのDNA型鑑定」】
DNA型鑑定はどんな方法で分析されるの?費用や必要な期間
検体を採取したあと、どのような方法でDNA型鑑定がおこなわれるのでしょうか。
費用の相場や結果が出るまでの期間についてもみてみましょう。
DNA型鑑定で用いられる分析方法とは?
DNA型鑑定で用いられる分析方法はいくつかありますが、次の3つについて解説します。
・短鎖縦列反復配列(STR型)
DNAの特定領域において、同じDNA塩基配列が繰り返される反復回数の違いを分析する方法です。
この反復DNAは、ショートタンデムリピート(STRs)と呼ばれていて、子供は父親と母親から確実に受け継ぐことが分かっています。
親子関係や個人の識別が可能になります。
・一塩基多型(SNP)
DNA塩基配列の中で、1塩基が異なっている部分を分析する方法です。
SNPは人によって違う塩基であるため、体質や能力、病気のなりやすさなどと併せて研究され、検査に結び付けられています。
また、STR型と同様に両親から子どもに受け継がれるため、親子鑑定にも利用されます。
・ミトコンドリアDNA型
核細胞核の中にあるのは二重らせん状のDNAですが、じつは核細胞核の外側にもDNA物質が存在します。
それは、核と同様に細胞の中にある器官(細胞小器官)であるミトコンドリアの内部に含まれている「ミトコンドリアDNA」です。
細胞1個あたり核が1個なのに対して、ミトコンドリアは複数個存在しているので、、より多くのミトコンドリアDNAが得られるメリットがあります。
ミトコンドリアDNAは母系に遺伝することが分かっているので、母子鑑定に有効な分析方法です。
DNA型鑑定の費用相場は?
DNA型鑑定にかかる費用は、法的鑑定か私的鑑定かで相場が異なります。
法的鑑定とは、裁判所など公的機関に親子関係や兄弟姉妹だと証明するための鑑定で、10万〜20万円程度かかります。
いっぽう、私的鑑定は、本当に親子なのか確認したいなどの理由でおこなうプライベートな鑑定のことです。
費用は10万円前後。
最近では1〜2万円程度の簡易的な鑑定キッドも提供されています。
結果が出るまでどのくらいかかるの?
専門機関がおこなう口腔内細胞を検体としたDNA型鑑定では、およそ2週間程度で結果が分かります。
一般試料を検体とした場合は、検体の状態によっては2〜3ヶ月かかることもあります。
また、検体の量が足りなければ再鑑定をおこなう必要もあります。
まとめ
DNA型鑑定の検体には口腔内細胞を用いるのが最適です。
ほぼ100%の精度ですし、傷みや出血を伴わないからです。
でも、他の検体でも鑑定は可能です。
とくに事例が多いのは歯ブラシやタバコの吸い殻、毛髪です。
採取の方法や注意点を守れば、精度は50%以上になります。
DNA型鑑定を依頼するさいは、目的に応じたDNAの分析・解析方法をおこないます。
また、私的鑑定の場合の費用相場は10万円前後です。
通常、2〜3週間程度で鑑定結果が出ます。