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DNA型鑑定の方法や具体的な検体採取のやり方を徹底解説

コラム
2023.08.31

近年、一般の方の利用が増えてきているDNA型鑑定。このDNA型鑑定にはいくつか方法がありますので、本コラムではDNA型鑑定方法の種類をご紹介します。同時に、DNA型鑑定を行うための具体的な検体採取のやり方や、DNA型鑑定にはどのような検体サンプルが好ましいのかについても解説していきます。

DNA親子鑑定
DNA親子鑑定

そもそもDNA型鑑定とは?

人体を構成する細胞に存在している遺伝情報のことをDNA(デオキシリボ核酸)と呼んでいます。DNA型鑑定とは、そのDNAを検査・解析して個人を特定したりする様々な検査のことを指しています。

人間同士では大半のDNAは同じであるため、DNA型鑑定ではDNAの中でも個人差が生じる部分を調べる必要があります。その個人差が生じる部分を調べることで個人が特定できるようになりますので、以前から犯罪捜査や身元不明遺体の身元調査などに用いられてきました。

DNAで個人の識別が可能になることを利用して、生物学的な親子関係の有無を明らかにするためにも利用されます。子どものDNAは両親のDNAを半分ずつ受け継いでいますので、親子関係を判定するためにDNA型鑑定が利用されるのです。このような方法は近年、一般の方にも多く利用されています。

DNA型鑑定については以下の記事でも解説しています。ぜひご覧ください。

DNA親子鑑定とは?期間や費用・最新情報を解説!

DNA型鑑定の5つの方法

DNA型鑑定には、そのやり方によって5種類の検査方法があります。検査方法により、調べやすさやメリット・デメリットなどが異なりますので、それぞれの鑑定のやり方を簡単にご紹介します。


①STR法

DNA内には、2~5塩基のDNA配列が1つの単位となって、直列に繰り返し並んでいる領域(STR)があります。このSTRのDNA配列の繰り返し回数の違いによって、個人を識別する方法がSTR法です。

このSTR法は、キット化されている試薬と自動的に実行できる解析装置により、低コストで検査結果も早く知ることができるというメリットがあります。そのため、アメリカのFBI(連邦捜査局)でも採用されている方法です。

②MLP法

MLP法は、現在行われているDNA型鑑定法の基礎を築いた検査方法です。このMLP法は民族や人種に関係なくすべての人たちが利用できるため、データベースが構築されていない民族・人種が対象の検査でも対応できるといったメリットがあります。

ただこのMLP法には、正確な頻度の計算が難しく再現性が乏しいといったデメリットもあります。そのため、どの程度まで誤差の範囲と考えればいいのかどうかの判断が難しくなっている検査方法です。

③SLP法

MLP法がDNAの複数の特定の遺伝子の位置を解析する検査方法であるのに対し、1つの遺伝子の位置のみを解析するのがSLP法です。

SLP法には、分析が簡単に行えるというメリットがありますが、SLP法で遺伝子を解析し一致・不一致の判定をするには熟練した専門家の能力が必要となります。そのため、人件費もかかるようになり高額な検査費用が必要になるといったデメリットがあります。

④ミトコンドリア法

細胞には、核の中にある二重螺旋状の核DNAと、細胞小器官ミトコンドリアの中にある環状のミトコンドリアDNAの2種類があります。ミトコンドリア法とは、このミトコンドリアのDNAの塩基配列の違いを分析する検査法です。

細胞1個あたりから回収できるミトコンドリアDNAの量はDNAよりも多く、古いサンプルや少量のサンプルでも検査がしやすい検査方法と言えます。また、ミトコンドリアは必ず母親由来であるため、母系の血縁識別にも利用されます。そのため、遺伝子検査がしやすい検査方法だといえます。

⑤Y染色体STR法

Y染色体は男性だけが持っている性染色体あり、このY染色体上にもSTRがあります(Y-STR)。このY染色体STR法は、①STR法と同様にY-STRの繰り返し回数を検査する検査方法です。

Y染色体は必ず父親から男子に継承されるため、父親が共通の男兄弟同士は同じY-STRを持っています。もし父親が不在の場合でも、父親の直系家族(祖父・兄弟・叔父など)が健在であれば父親のDNA情報を調べることができます

DNA親子鑑定
DNA親子鑑定

具体的なDNA型鑑定のやり方とは?

今やDNA型鑑定といっても病院に行き、長い時間をかけて検査を行うものではありません。すべて自宅で行うことができます。そこで以下では具体的なDNA型鑑定のやり方をご紹介します。


【STEP1】鑑定キットの到着

DNA型鑑定の申し込みを行い鑑定料金の支払いが完了すると、専用の鑑定キットが宅配便などで自宅に送られてきます

この鑑定キットの内容は、DNA型鑑定を依頼した会社によって異なってきますので、鑑定キットが届いたら必ず中身を確認して不備がないかどうか確認するようにしましょう。

【STEP2】検体の採取

DNA型鑑定はどの検査会社でも基本的に、専用の綿棒で口の中(ほおの内側)をこすって検体を採取する方法を採っています。この採取方法は綿棒でこするだけですので痛みなどはありません。安心して採取を行ってください。

なお、髪の毛や歯ブラシなど、口腔上皮細胞以外の検体でも鑑定は可能です。検体の採取について詳しくは本コラム下部でも紹介しています。そちらもぜひご覧ください。

【STEP3】検体の郵送

検体を採取できたら、自分で用意した封筒類や鑑定キット内に返送用封筒があればこれを使用して、検体を検査会社に送ります。郵便ポストに投函するだけでDNA型鑑定を依頼した方の作業は終わりです。

その後は、DNA型鑑定を行う会社が検査を開始します。検査が終了すれば、メールや電話などで検査結果の報告がもらえます。

検査期間については、検査会社や検査内容などによっても異なりますが、DNA JAPANの場合、DNA親子鑑定の検査期間が4~8営業日となっています。

検体採取はどうやってやるの?

DNA型鑑定の検体採取の方法は、基本的に口腔の上皮細胞を採取します。しかしそれ以外にも、検体の採取サンプルとして利用可能なものもあります。以下では、その種類をご紹介します。


基本的には口腔上皮からの採取

DNA型鑑定の検体採取方法は、通常、滅菌された綿棒などの道具を使って口腔内の粘膜をこする方法が採用されています。この方法では口腔内を柔らかくて吸水性のある綿棒を使って、頬の内側をこするようにして採取しますので、安全で衛生的であり痛みも全くなく赤ん坊から可能な方法です。

DNA型鑑定の検体採取する際、同時に採血が必要になるのではないかと思われる方もいますが、採血した血液中のDNAも、口腔内のDNAも同一のためその必要はありません。そのため現在のDNA型q鑑定では、痛みが全くない口腔内からの検体採取が一般的になっています。

口腔上皮以外の鑑定可能なサンプルとそれぞれの成功確率

上記のように、DNA型鑑定の際の検体採取には精度の高い口腔上皮細胞が用いられています。しかし口腔上皮の検体が採取できない場合には、そのほかの方法でも検体サンプルとして利用できるものはあります

以下では、その種類についてと、それぞれの検体サンプルとしての成功確率をご紹介しましょう。

髪の毛

口腔上皮以外の鑑定可能なサンプルのうち、鑑定の成功確率が高いものとして髪の毛が挙げられます。その際に必要となることは、毛根付きの髪の毛5本以上をサンプルとすることです。

その理由としては毛根から離れた箇所の髪の毛のDNAは分解が進んでいるからです。また、毛根の残っていない抜け落ちた毛などを拾い集めても、鑑定の成功確率はほぼありません。髪の毛を直接抜くのが最も望ましい採取方法となります。

口腔上皮以外の鑑定可能なサンプルとして、鑑定の成功確率が高いものとして爪もあります。採取の際、長い爪を用意する必要は特にありませんが、できるだけ新しい爪を最低指5本用意することが望ましいです。

なお、爪切りに他人の爪が混ざっていると鑑定できませんので、新品の爪切りか、隅まできれいに洗浄した爪切りを使用して検体のサンプルを集めるようにしましょう。

精液・体液

口腔上皮以外の鑑定可能なサンプルとして精液・体液もありますが、鑑定の成功確率はやや低いものとなります。鑑定の難易度は、精液・体液の保存状態や保存日数により変わってきます。そのため、なるべく新しい検体サンプルを採取し、精液・体液の付着部位を直接手で触れぬよう気を付けて送付するようにしてください。

歯ブラシ

口腔上皮以外の鑑定可能なサンプルとして歯ブラシは、鑑定の成功確率は低い検体サンプルです。検査しても鑑定不可能であることが多いのですが、鑑定の成功事例はあります

歯ブラシでDNA親子鑑定鑑定を成功させるためには、使い込んでいる歯ブラシであり、なおかつ使用後間もない歯ブラシであることが重要です。歯磨き後、水ですすがずに自然乾燥されているものであれば、成功確率も高くなります。

タバコの吸い殻

口腔上皮以外の鑑定可能なサンプルとしてタバコの吸い殻もありますが、鑑定の成功確率は低めな検体サンプルとなっています。

タバコの吸い殻で鑑定を行うためには、口でくわえた部分からDNAを抽出する形となりますので、乾いた状態(水などに漬けた吸い殻は不可)のタバコの吸殻を最低5本以上用意することが必要です。

タバコの吸い殻でDNA型鑑定に成功した事例はありますが、検査をしても鑑定は不可能となることもあります。

検体採取時の注意点

DNA型鑑定を行う際、検体サンプルの採取時や返送時の注意点がいくつかあります。

綿棒が湿ったままだと、雑菌が増殖してDNAの分解が進むため、乾燥させることが重要です。採取後の湿った綿棒を直接ビニル袋に入れるのはやめましょう。当社では採取後の綿棒を入れる専用の紙封筒があります。唾液で湿った状態の綿棒は、直接綿棒用封筒に入れることで封筒内で自然に乾燥します。また、乾燥できない体液や生の組織を返送する場合は、冷蔵便で送るようにしましょう。

なお、採取した検体サンプルをすぐに返送できない場合は、冷蔵または冷凍での保管が必要です。DNAは生モノと同じなので、常温では腐敗が早く進みます。目安として、数日程度なら冷蔵庫、1週間以上なら冷凍庫での保管を推奨しています。さらに、冷蔵保管していたサンプルは冷蔵便で、冷凍保管していたサンプルは冷凍便で返送しましょう。

また、検体を採取した綿棒には、手や他のものが触れないよう注意する必要があります。他人の検体サンプルや雑菌が混入してしまうと正しい結果が得られませんので、細心の注意が必要です。

まとめ

DNA型鑑定には方法がいくつかあり、それぞれのメリット・デメリットを本コラムでは説明してきました。また、DNA型鑑定を行うための具体的な検体採取のやり方や、どのような検体サンプルが好ましいのかについても解説していますので、DNA型鑑定を行い際の参考にしてください。

DNA JAPANは、DNA検査・分析・解析など遺伝子検査とDNA型鑑定の分野で日本の最高度の技術力を誇り、裁判所など法的な場でも多く採用されている実績を誇ります。自社ラボによる鑑定のために、費用面でも少ない負担で鑑定が可能です。

DNA親子鑑定・妊娠中DNA親子鑑定など、DNA型鑑定をご検討されているのであれば、ぜひお気軽にご相談ください

DNA親子鑑定
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監修・著書 DNA JAPAN 株式会社
事業内容 遺伝子分野に関わる 鑑定業務 / 検査分析業務 / 試験研究及び開発/遺伝子検査に関する研究/DNA・遺伝子検査に関するソフトウェア【輸入】生化学分野に於ける分析装置/試験試薬/遺伝子診断
参加学会 日本法科学技術学会/日本犯罪学会/日本DNA多型学会 ほか

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